2022/03/11 21:15

ムーミンの登場人物、
Filifjonka フィリフヨンカ は、個人名ではなく、
フィリフヨンカ族の女性たちの総称です。

太っている人は見たことがないのと、
いつも何かしら動いている印象。


一様に伝統や、
自分独自のしきたりを大切にしているのは良いのですが、
それにしばられるあまり、
身動きが取れなくなっている彼女たち。

・・・あれれ?これって私のこと?

自分には、重んじるべき伝統は、まったくありませんが、
こうしなければならない、こうあるべきというような、
不思議なしきたり(習慣)を勝手に作り上げ、
自らの自由をなくしている・・・というか、
身動きを取れなくしていることが、日常では、おおいにあります。


禅に、莫妄想という言葉がありますが、これは
「考えや想いに囚われている状態のこと」だそうです。

言い換えると執着心。
モノに、心に、となりの芝生に・・・しゅうちゃく。


いつも心と身体を固くして、
なにかにしばられ、
なにかに怯えているフヨンカさんたち。

物語の中で、何人もの彼女たちを見て、
アハハ!と笑いながらも、
自分と重ね合わせて読むことの多いキャラクターです。



「ムーミン谷の仲間たち」での彼女は、
一族の伝統を守って暮らしていますが、

この世の終わりが来て、
全てを失ってしまうのではないかと、
いつもびくびくとして落ち着きません。

そんなある日、案の定大嵐に会い、たつまきが起り、
伝統あるクリーム入れや、家具や、自分の守っていたものたち、
何もかもを奪っていきます。

全てを失ったフヨンカさんは泣きました。

しかしこの涙は、二度とびくびくすることのない、
本当の自由を手に入れたとはじめて心から思えて、
笑いといっしょに流した涙でした。


ムーミン谷は、平和です。
平和の中にも、
この世の終わりに怯えるフヨンカさんたちがいます。

一方、連日のニュースでは、
現実に、着の身着のまま、避難を続けている
ヨーロッパの過酷さが伝えられています。

また、大震災から11年目の現在でも、
ふるさとから遠い場所で、避難生活を続けている方々がいます。

私たちは、災害、パンデミック、戦争を
乗り越えていかなければなりません。

全ての暴力が、一日も早く終わりますように、
3月11日に、心から祈ります。