2022/02/18 23:42

在宅時間が長くなったこともあり、
ムーミンの物語を読み返しています。
せっかくだから、第一作目からと思い、

1945年出版の
「小さなトロールと大きな洪水」から。

(新装版 2015年出版 講談社・青い鳥文庫)

第二次世界大戦中に構想を練り、書かれていた物語ですが、
日本語訳の出版は、物語全9作品中いちばん最後、
1991年でした。

内容・絵の面白さはもちろんですが、
トーベさんの歴史が垣間見れる記述があり、
とても興味深く読めます。

ちなみにこの時代、ムーミンたちは鼻が大きく、
のちの物語よりちょいと痩せています。

トーベさん自身がまえがきで、

「わたしが読んで好きだった、子供の本の影響を受けています。
たとえば、ジュール・ヴェルヌやコッローディ」とあり、

「この本のタイトルは、
「グラント船長をさがすこどもたち」にならい、
「パパをさがすムーミントロール」にしたかった」と書かれていました。
(どちらも、小さなトロールと大きな洪水まえがき引用)

ヴェルヌ「グラント船長をさがす子どもたち」が
ストーリー全体のしたじきとなって、
ママとムーミンが、パパをさがす物語ができて、

コッローディ「ピノッキオの冒険」に出てくる青い髪の妖精から、
チューリップの家に住む青い髪の少女、
チューリッパが、イメージされたのですね。


ところでパパの放浪ぐせは、
この第一作から発揮されていますが、

大洪水の中やっとさがしあてたパパを抱きしめるママは、
奥さんというより、子どもがかわいくて仕方ない母親の感があります。

でもこの物語の中のママは、ずいぶんとあせったり慌てたりしていて、
誰でも何でもいらっしゃいという、後のムーミンママとはちょっと違います。

こんな、めずらしく気持ちがむき出しのママは、
「ムーミンパパ海へ行く」でも描かれています。


一方、皆と再会したパパはひとこと、
「息子よ、ずいぶん大きくなったなあ!」
アンタ、どれだけ放浪し続けたの?ですね。

しかしこの期間、放浪していただけではなく、
しっかりお家を建てていたところはエライ。
やることはやっているパパです。

大きな洪水によって、この家が流され、美しい谷に到着した後は、
楽しいムーミン谷の物語が始まります。

こちらはスウェーデン語ですが、
ムーミンの物語・絵本・コミックスが一挙収録されています。
スウェーデン語版・小さなトロールと大きな洪水も掲載。
近日当ホームページに掲載します。